
朝起きるとなんだか喉が痛くて熱っぽい。
試しに体温計で測ってみると37度2分。
やられたか。こりゃコロナに感染したか。しかも今頃。
カッコ悪いなと思いながら病院で調べてもらうと「風邪ですね」とあっさり言われた。
そういえば大体この時期、季節の変わり目にはよく風邪をひいてるなと思いだした。
そんな話を飲み屋でしていたら、隣で飲んでいたオヤジが「なぁん、私はいつも山羊汁飲んでるからここ何十年も風邪なんか引いたことがない。あんたも山羊汁飲みなさい。風邪なんか一発で治るから。そらもう、ギンギンさ。」と言われた。
熱は下がったが鼻はいまだにじゅるじゅるである。ギンギンも気になるがさっさと風邪を治したい。
ついに来たかこの日が。山羊汁を食う時が。
私と山羊汁との出会いは今から30年以上前、当時勤めていた会社の慰安旅行で沖縄を訪れた際に食わされたのが最初である。
衝撃であった。だって「う〇こ」の匂いがするんだもん。
それですっかり怖気づいてしまい、以来山羊汁を食べることは無かった。
しかし友人・知人の間では沖縄通で通っている私である。山羊汁くらい食えんでどうするか。
覚悟を決めたのである。
沖縄食文化の頂点に君臨する山羊。
そしてその中でも究極の料理が山羊汁である。
そんなわけでやって来たのが私にとって山羊肉といえばこのお店、のうれんプラザ1階にある沖縄山羊肉精肉店さんである。
2年前にここで初めて山羊刺しを食って、こんなに美味いのかと驚かされた記憶がある。
2021.12.29 沖縄メシ 山羊刺しを食ってみた。沖縄山羊肉精肉店
ザ・ゴート・ミート・ブッチャー。
横文字にすると、なにやら恐ろしげな名前である。
私なんかはブッチャーっていうと往年のプロレスラー、アブドラ―・ザ・ブッチャーを思い出してしまう。
そうかブッチャー、肉屋だったのか。
このお店には3種類の山羊汁があり、初心者にも飲みやすくしたマイルドなタイプから、山羊好きをうならせる昭和なタイプ「昔ながらの特製山羊汁」まであるらしい。
いきなり上級者向けの昭和なタイプ「昔ながらの特製山羊汁」は過去のトラウマを思い出しそうなのでスタッフさんから色々教えてもらってとりあえずは入門編である「当店自慢の特製クリヤな山羊汁」と令和なタイプ「職人が手間暇かけた超クリヤな山羊汁」を買ってみた。
山羊汁の匂いの元である脂身を丁寧に除去し、しっかりとあく取りをしているので初めての人でも美味しく食べられますよ、との事。
これは期待できるではないか。

味変用として醤油にショウガにフーチバー。
ダメならこれで流し込めと泡盛も用意した。

先ずは「当店自慢の特製クリアな山羊汁」から。
入門編である。

見た目はソーキ汁のごときである。
匂いを嗅いでみても全く、獣臭さというか山羊臭さはない。もちろん山羊がどんな匂いかは知らないが。
このビラビラしたものはモツであろうか。肉から骨からモツまで全て入っているようだ。

おそるおそる一口、スープを啜ってみる。
あっさりとした癖のない塩味のスープにほんのりと山羊らしき香りがする。
滋味あふれるというか力強く肉を感じさせるスープである。
美味い。

肉もモツも良く煮込まれており、ほろほろと口の中でほどけていく。
こりゃイケる。

ちょっとフーチバーなんかも入れてみたが、特に調味料で味付けする必要もない。

泡盛が進む。
これは好きな人はたまらんだろうね。
山羊刺しも一緒に買って来ればよかった。

骨にくっついた肉もしゃぶりつくして完食である。
山羊汁美味いじゃないか。
数十年ぶりに山羊汁を食ってみたが全くの杞憂であった。
歳をとったせいで味覚が変わったのか、それとも肉の処理技術が向上したのか。
何だったんだろうね昔食ったあの山羊汁は。本当に山羊だったんだろうか。
次は大根だとかレンコン等、根菜類と一緒に煮てみたらもっとイケるのではないか。
試してみようと思う。
すっかり気を良くして令和なタイプ「職人が手間暇かけた超クリヤな山羊汁」を食べてみることにする。

こちらが令和なタイプ「職人が手間暇かけた超クリヤな山羊汁」
とにかく職人さんが徹底的に余分な脂肪や内臓の処理を行い誰にでも食べやすいすっきりとした味に
仕上がってるそうだ。

全く濁りのないきれいなスープ。
下処理が徹底されているのが良く分かる。
さっそく食べてみる。
うーん。
美味いんだが逆に何のスープだか良く分からない。
あまりに山羊の臭みを取ることを優先して山羊本来の旨味まで無くなってしまったような気がする。
デジタルが過ぎてアナログの雑味の良さが消えてしまっている。

ショウガなんぞ入れて味変してみる。
やはり何の肉でも魚でもそうだが豚臭さ、牛臭さ、魚臭さがあってこそなので、それが嫌な人はハムだとかかまぼこ食えばよいのである。
これはちょっとやりすぎの様な気がする。山羊汁好きには物足りないであろう。
しかしながら文句なしに山羊汁は美味かった。
食べず嫌いはいかんと改めて思った。
私の沖縄道のステージがワンランク上がった気がする。
これは昭和なタイプ「昔ながらの特製山羊汁」もイケるのではないか。
次はこいつを攻略しよう。
私は翌日、意気揚々と沖縄山羊肉精肉店に向かったのである。
以下続く。
追記 特にギンギンにはなりませんでした。
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