この建物のことを知ってのはいつだったでしょうか。
学生時代、図書館で建築関係の雑誌をパラパラとめくっているときに初めて目にしたんだと思います。
余りにも斬新なデザインに日本にもこんな建物がと驚愕した覚えがあります。
そしていつか自分の目で見たいと思っていました。
そしてやっと念願かなって観に来ることが出来ました。
昭和45年に町村合併により誕生した名護市。市庁舎建設は当初より市の懸案でした。
建設委員会は庁舎の建築にあたり市民の財産となる建物を創るなら、設計案は広く公募すべきであるとの
答申をまとめました。
それを受け昭和53年より設計コンペが行われました。
応募要項には「地域の自治を建築の中に表現し、外に向かって沖縄を表明しうる建築をなしえる建築家と
その案をもとめる」とあります。
これにより全国から308案の応募があり、2段階のコンペを行った結果、象設計集団+アトリエ・モビル
の設計案が入選と決まりました。
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陽射しと日陰のバランスが絶妙です。風が心地よいですね。
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この建物の核となるものが「アサギテラス」です。
アサギとは(カミアシャギ、神アシャギ、神アサギ)集落の神事を行う小屋、柱だけで壁のない吹き抜け
の構造の建物で伝統的な沖縄の建築様式です。
長いひさしの下は沖縄の強い陽射しを遮り、心地よい風が吹き抜けていきます。役所と市民、市民と市民
同士をつなぐコミュニティーの場所でもあるのです。
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庁舎正面です。
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古代の神殿に続く回廊のようですね。
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そして特徴的な外観はピンク色のコンクリートブロックが多用されていることです。
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これは花ブロックと呼ばれ、沖縄独特の建築資材の一つです。
建築家たちがこの建物を設計するにあたり、沖縄の風景のひとつのアイコンとして取り入れたのだと思い
ます。
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ブロックにはめ込まれた美しい琉球ガラス。
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そしてなんといっても、この建物を強烈に印象付けているのは56人の職人によって一体一体手作りされ
た56体のシーサーです。
残念ながら老朽化によりいくつかは無くなっていますが、それでも王城の守護神のごとく睨みを利かせて
います。
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しかし、よくもまあこんな斬新な建物が完成したものですよね。
思うに、若き建築家集団の情熱と新しい名護市を作っていこうとする当時の人々の気概が合わさって作り
上げたものなんでしょうね。
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1981年の完成から約40年やんばるの風土にもすっかり溶け込んだその姿はまさに
古代の神殿のようです。
この先この建物がどう変わって行くのか見てみたいです。
50年先、100年先、私はもちろん生きていませんがそれでも見てみたい。
やんばるの太陽と風と光と緑に包まれて建つその姿を。
象設計集団+アトリエ・モビル作
名護市役所庁舎。
異形。
まさに異形としか表現できない建築物。
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