· 

パーラー輪のある風景。個人的沖縄100景。


今回「個人的沖縄100景」と題してこれまで訪れた沖縄の独特な情景を記録に残したいと思う。

 

何故こんな事をするかというと沖縄でもそうだが福岡でも何十年も続いていたようなお店や今まで当然のようにそこにあったものがある日突然無くなってしまう。

 

理由は色々あるのだろうがコロナ以降、特に多くなったような気がする。

 

先日も普天間の三角食堂さんが閉店してしまった。独特の味わいのある建物で地域のランドマーク的存在だったのだが道路の拡張工事で建物ごと跡形もなく無くなってしまった。

 

もはや空き地となってしまって空虚な空間が残っているだけでそんな食堂があったことなんてもはや誰も覚えていない、そんな記憶ごとはぎとられてしまった場所が沢山ある。

 

街が変わって行くのは世の常だから仕方ないけれども、ならばその記憶を少しでも写真という形で保存したい。

 

 これはあくまでも私の個人的に心に残った心象風景であり多分にマニアックなものなので興味のない方が多いと思うが備忘録的にブログに残したいと思う。

 


第一回目は沖縄のパーラーについて。

 

パーラーという存在は沖縄県民にはお馴染みだが私は沖縄に来てから初めて知った。

 

沖縄そばやポー玉、タコライスや弁当等を出す簡易な食事処なのだがこれがなかなかそば一つをとってもバカにならないクオリティーなのである。

 

沖縄名物タコライスももともとはパーラーが発祥だとか。

 

私なんかはパーラーというと千疋屋パーラーとかお洒落なフルーツパーラーを想像してしまうし、あるいはギャンブル好きならばパチンコ屋を思い浮かべるのではないか。

 

 

福岡でも昔は駄菓子屋におでんやうどん、お好み焼きなどを一緒に売っているお店があったのだけれどもそれともチョットと違うのである。

 

さりげなく住宅街のなかに溶け込んでいるののも良いよね。

 

利用者はほとんどが地域の人々で学校近くに店を構えている場合もあり部活帰りの中・高校生も利用している。

 


私がよく利用するのがパーラー輪さん。

 

最近では沖縄のパーラーも観光客に知られるようになってきてネットで検索すると有名店ランキングなんて出てきたりするけれどもこのお店はまあそんなものには無縁。

 

私が初めて沖縄の「ぜんざい」を知った場所でもある。

 

一見廃墟のような(失礼)佇まい。

 

ひっそりと佇むという文句がこれほど似合う店もないのではないか。

 

築何年位なのだろうか。かろうじて「そば」という文字が読めるので食堂か何かであろうことは想像できる。

 

最初は入店するのに躊躇した。

 

風雪に耐えること数十年。年季入りすぎの看板。

 

かろうじて「パーラー輪」と書いてあるのが読める。

 

おばちゃんに「何で輪という名前なの」と以前聞いた事があるのだが何故かはぐらかされた。

 

 

お店のカウンター。セルフ&キャッシュオンデリバリー。

 

駄菓子やカップ麺類も充実しているので学校帰りの古蔵中の生徒も放課後立ち寄るのだろう。

 

タクシーの運転手さんがひっきりなしにやってくる。路駐してそばを掻き込んではあわただしく仕事に戻っていく。

 

この日も近所の古蔵マダム達がゆんたくしていた。地元の方の社交場といった場所である。

 

おばちゃんが一人でやっておられるのだが年々腰が曲がってくるように見えるのは気のせいだろうか。

 

雨の日も風の日も日曜日の定休日を除いては律儀にお店を開けておられる。(沖縄では珍しい)

 

いつまでも頑張ってほしいのだが、おばちゃんも80代だしいつまで店を続けていくことが出来るのか。

 

失礼ながら多分5年後には無いような気がする。

 

店内から。

 

天気の良い日に通りを眺めながらそばやぜんざいをいただくのは至福のひと時。

 

何故かと言われれば困るのだが、この席に座ってぼーっとしながら「ぜんざい」を食べていると「遠くに来ちゃったなー」といつも思うのである。

 

無くなってから気が付く大切なもの。この店の光景もそうなんじゃないだろうか。

 

そう遠くない未来に確実に無くなってしまうだろう。せめて写真で残しておきたいと思う。

 


場所は那覇市立古蔵中の真裏。

 

私は漫湖公園の駐車場に車を停めて食べに来るのだが近所の方やタクシーの運転手さんなんかは路駐してテイクアウトしたりさっとそばを食べて行くようである。

 

イートインスペースがある。テーブル席が3つ。日影がありがたい。

 

そばの味はまあ普通かな。しっかり煮込まれた三枚肉が入っていて、これは自家製だとか。

 

メニュー各種。

 

最初「ぜんざい」と「金時」の違いが分からなかったのだが、「ぜんざい」は普通のぜんざい。

 

「金時」は「ぜんざい」に各種シロップがかかったもので私はいつも宇治ミルク金時を食べてます。

 

 

他で見たことが無いのでおそらくこの店の独特なシステムであろう。

 

宇治ミルク金時くまのみスペシャル。(金時豆とミルク多め)

 

白玉と大きな金時豆が入っている。

 

いつか食べてみようと思っている揚げサンドとチキン串。

 

ホットサンドとポーク玉子おにぎりもあるよ。

 

この店のポー玉は円筒形。これもココでしか見たことがない。


あらためて眺めてみるとしみじみと良い風景だなと思ってしまう。

 

是非これからもお元気で店を続けてください。また「ぜんざい」食べに行きます。